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終活とは?3つのメリットと7つの手順を紹介

この記事のサマリ
  • 終活は自分にもしものことがあった時に家族の負担を減らせます
  • ただ、やることは意外と膨大なので少しずつ進めていきましょう
  • 終活は人生の整理なので残りの人生を有意義に過ごすことができます

死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るための準備を表す「終活」

2010年の「ユーキャン新語・流行語大賞」にノミネートされ,徐々に受け入れられてきている終活ですが、終活には様々な形があり、正解が存在しないため「結局のところ終活とは何か」わからないという方が多いです。

そこで終活の定義や目的、メリット、具体的な進め方を解説します。


終活とは?

終活は自分の死と向き合うことです。
しかし死生観が十人十色であるように、終活の定義や目的も人によってそれぞれ異なります。
ここで紹介するのは、一般的な終活の定義と目的です。

終活の定義

終活の定義は「残りの人生をよりよく生きるため、葬儀や墓、遺言や遺産相続などを元気なうちに考えて準備する」ことです。
終活は「就活」のもじりで、「終末活動」の略語だとされています。

終活 = 残りの人生をよりよく生きるため、葬儀や墓、遺言や遺産相続などを元気なうちに考えて準備する、人生の最終調整のこと

高齢者に親族が多く、地域の縁が強かった頃は終活をせずに、自分の死後のことは親族や関係者に任せるのが普通でした。
しかし現在では高齢者だけで暮らす方が増え、自分自身で死後の準備をしようという方が増えたため、終活という言葉が広く受け入れられています。

終活の目的

終活の目的は、漠然と自分の死後に対する不安を抱えるのではなく、早いうちに自分の残りの人生と死後の準備をすることで、ゆとりを持って前向きに残りの人生を暮らしていくことです。
また終活をすることで、遺される家族の負担を減らすことができます。

何歳ぐらいから始めるの?
終活を始めるにあたって「何歳から」という決まりはありません。
一般的には「配偶者が亡くなったから」、「定年退職したから」といった、人生の節目のタイミングで終活を始める人が多いです。
しかし、人生なにが起こるかわかりませんから、早いタイミングで何かのキッカケを期に終活を始めるのはいかかでしょうか。

終活を行う3つのメリット

終活のメリットのイメージ

終活は自分の残りの人生と死後を左右するため、気軽に行えるものではなく、億劫に感じる方もいるかもしれません。
それでも終活をおすすめするのは、以下の3つのメリットがあるからです。

1. 家族に自分の希望を共有できる

介護が必要になった時や終末期医療を受ける時、家族に自分の希望を共有できていなければ、自分の望まない結果になる可能性があります。
しかし終活を通して家族と自分の残りの人生や、死後に関して話し合うことで、家族に自分の希望を理解してもらうことが可能です。
また家族と本人の間に意見の食い違いが発生した場合でも、早めに終活をはじめておけば、お互いの意見を尊重してお互いが納得のいく結論を出せるでしょう。

2. 家族の負担を減らすことができる

終活では大切な家族への経済的・肉体的・精神的な負担を減らすことができます
遺言書で自分の思いを形にしておけば、自分の死後に家族が相続で金銭的なトラブルになることを防ぐことが可能です。
他にも、介護を受ける準備、葬儀社・お墓の準備、荷物の整理、終末期医療に関する意思表示をしておくことで、家族への負担が軽くなります。

3. 残りの人生に対して前向きになれる

エンディングノートの作成などを通し、終活は今までの人生を振り返るきっかけになります。
人生を振り返ることで、今までの悩みや不安がみえてくるはずです。
そしてやり残したことや後悔が残らないように、残りの人生を前向きに生きていくことができます

終活の具体的な7つの進め方

終活にはこれといった決まりや順序はなく人それぞれですが、次の7つの手順で終活を進めている方が多いです。

エンディングノートを書く

エンディングノート

エンディングノートは終活ノートとも呼ばれ、自身の希望や伝えたいことを、家族や大切な人に残すノートです。エンディングノートには以下の項目を記載します。

  • 自分自身のこと(基本情報・本籍・勤務地など)
  • 資産のこと(預貯金・口座自動引き落とし・不動産・借入金・ローンなど)
  • 気になること(携帯やパソコンのデータ・宝物やコレクション・ペットなど)
  • 親族・家族のこと(家族一覧・親族一覧・親族表など)
  • 友人・知人のこと(友人・知人一覧・サークルや習い事、同窓会の連絡先など)
  • 医療のこと(健康管理・告知・延命治療・臓器提供や献体など)
  • 介護のこと(介護をお願いしたい人・介護をお願いしたい場所・介護費用など)
  • 葬儀のこと(葬儀の規模や業者、会場・葬儀の費用・喪主になって欲しい人など)
  • お墓や供養のこと(埋葬先の有無・希望の埋葬法・お墓の継承者など)
  • 遺言書のこと(遺言書の有無・遺言書の最新の日付など)
注意
エンディングノートには法的根拠がないため、相続などに関しては遺言書を別途作成する必要があります。
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遺言書を書く

遺言書

死後に財産を誰に対し、どのように分配するかを記載するのが遺言書です。エンディングノートとは異なり、法的根拠を持たせることができます

遺言書の形式には「普通方式」と「特別方式」という2つの種類があり、一般的には「普通方式」を用います。
普通方式は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分かれています。

遺言書には以下の項目を記載します。

  • 相続人の廃除等(特定の相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりした場合に、その相続人を廃除できる)
  • 相続分の指定等(遺産の取り分を遺言者が決定することができる)
  • 遺産分割方法の指定と分割の禁止(遺産の分割法を第三者に決定させる。死後5年以内の遺産の分割を禁止することができる)
  • 相続財産の処分(遺贈)に関すること(法定相続人とならない第三者や団体に遺産を相続することができる)
  • 内縁の妻と子の認知に関すること(内縁の妻との間に子供がいた場合、その子供に遺産を相続することができる)
  • 後見人の指定(相続人が未成年で親権者が不在となる場合、財産管理等を第三者に委ねることができる)
  • 相続人相互の担保責任の指定(遺産相続において必要になる手続きを行う遺言執行者を指定することができる)

なお上記の通り遺言書で相続人の廃除を希望できますが、実際に相続人が廃除されることは稀です。

注意
パソコンで書いた遺言書や押印がない遺言書、日付がない遺言書などは無効とされるため、遺言書は必ず決められた書式に従って作成します。
エンディングノートと遺言書の違い
  • エンディングノート
    法的効力を持たない。
    書き方に制限・形式等はない。
    プロフィールや健康、お金のことなど幅広い内容を記載できる。
  • 遺言書
    法的効力を持つ。
    書き方に制限・形式等がある。
    記載できる内容が相続や親権に関することに限られる。

お金の計画を立てる

お金の計画のイメージ

人生の終末期にはお金がかかりますが、予めお金の計画を立てておくことで、心にゆとりを持つことができます。
以下の費用を考慮してお金の計画を立てましょう。

介護料金

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査平成27年」によると、自宅介護を始める際にかかる一時的な費用平均は83.3万円、月額費用の平均は約4.4万円です。
また老人ホームや介護施設を利用する場合には入居金が平均1,000万円、月額費用は平均25万円かかります。

葬儀代

遺体を運ぶ霊柩車や葬儀を行う斎場代、遺影や棺など祭壇にかかる費用など、葬儀に関わる費用を葬儀にかかる費用の相場は、約120万円です。

遺品などの身辺整理代

家族が遠くに住んでいる場合など、遺品などの身辺整理を専門の業者に依頼して行うケースも多いです。
一般的な相場は約15万円から数十万円程度となっています。
ただ可能であれば自分自身で整理を行い、死後も保管して欲しいものなどをエンディングノートに記載しておくことをおすすめします。

遺産相続

残された家族間のトラブルを避けるためにも、遺産相続に関して遺言書を残しておくことは重要です。
公証人や司法書士などに作成してもらうか、公正証書として公証人役場で証明してもらうことも可能ですが、遺言書の作成には約5万円、公正証書の発行には7~10万円程度程度の費用がかかります。

終末期医療の事前指示書を作成する

終末期医療のイメージ

現在では多くの場合、病院への入院や老人ホーム・介護施設への入所の際に「終末期医療の事前指示書」への記入が求められます。

終末期医療の事前指示書は、「生命維持処置を行わなければ、比較的短期間で死に至るであろう、不治で回復不能の状態」になった際にどのような治療を行うか、事前に本人が意思表示するための書類です。

終末期資料の事前指示書には以下の項目が含まれます。

  • 痛みを抑えるために鎮静剤を使用するのか、もしくは自然のままの状態でいるのか
  • 終末期を迎える場所
  • 心臓マッサージなどの心肺蘇生法を希望するのか
  • 延命のために人工呼吸器を使用するのか
  • 抗生物質の強力な使用を希望するのか
  • 胃ろうによる栄養補給を行うのか
  • 鼻チューブによる栄養補給を行うのか
  • 点滴による水分補給を行うのか

家族によって自宅で介護を受けている方の中には、事前指示書を作成しない方が多いです。

しかし事前指示書を作成する前に、本人が終末期医療に関する意思表示をできなくなってしまった場合、延命治療が長期にわたって継続され、死の直前まで苦痛が続いたり、本人ではなく、家族が生死を決定することになります。
本人にとっても家族にとっても不幸なことです。そのため自宅で介護を受ける場合でも、万が一に備えて終末期医療の事前指示書を作成しましょう。

介護を受ける準備をする

今は元気という方でも、将来的には介護が必要になる可能性があります。
そのため早いうちに次のような介護を受ける準備をしましょう

誰から介護を受けるのか決定する

誰から介護を受けるのか考えましょう。

誰から介護を受けるのか決まっていなければ、不安を抱えることになり、介護をする側も介護の準備をするのが難しくなります。
家族や、民生委員・地元の地域包括支援センターの職員の方に相談し周りの意見を聞きながら決定するのが重要です。

自宅介護か施設介護か決定する

自宅介護には住み慣れており生活環境の変化が少ないため、ストレスが少ないというメリットがありますが、お風呂やトイレ、食事や買い物など色々な問題が出てきます。

一方で施設介護には施設の職員が介護してくれるため安心感があるというメリットがありますが、生活環境が変わり、知らない方との同居になるためストレスを感じる方が少なくありません。

自分と家族の希望や予算に応じて、決定しましょう。

経済的な準備を整える

介護施設に入居する場合でも、訪問ヘルパーを利用する場合でも、介護には費用がかかります。
介護が必要になった後も安心して暮らすために、どの程度の費用が必要なのか計算して、準備を整えましょう。

葬儀・お墓に関して決定する

葬儀のイメージ

子世代の60%以上が親がエンディングノートを書くことを望んでおり、エンディングノートに記載しておいて欲しい項目として最も多く選ばれたのが「葬儀や墓のこと」です。
家族が本人に代わって、お墓に関して決定するのはそれだけ難しいということを意味します。

またお墓や葬儀には費用がかかりますが、葬儀やお墓について決定するまで、実際にどれくらいの費用になるのかは予想するのは困難です。
しかし予め葬儀やお墓に関して決定しておけば、老後に使える費用がいくらになるのか見当をつけることが可能になり、安心して残りの人生を暮らすことができます。

そのため葬儀・お墓に関して決定しておくことは、終活の中でも重視するべきです。

葬儀の種類を決定する

葬儀のほとんどは仏式ですが、音楽葬などの形式にこだわらず、より本人の希望に沿った無宗教葬も人気になっており、様々な葬儀の種類があります。
またお通夜や告別式は行わず、火葬のみを行う火葬式や、ご遺族や親しい方のみで行う家族葬など、葬儀の規模も様々です。
自分がどのような葬儀を希望するのか明らかにしておきます。

生前墓を立てる

以前はお墓は亡くなった後に立てるものだという考えが主流でしたが、現在は約6割程度の方が自分自身でお墓を立てています。
早いうちにお墓を立てておくと、自身が安心できるだけでなく、遺される家族の負担を減らすことが可能です。

お墓には「公営墓地」、「民営墓地」、「寺院墓地」、「永代供養墓地」という4つの種類があります。
以下のポイントを検討して、本人もお参りをする方も満足のいくお墓を探しましょう。

  • 予算
  • 自宅からの距離
  • お墓の大きさ
  • 墓石のデザイン
  • 墓石の文字彫刻
  • 宗派

持ち物を整理する – 生前整理

不用品処分のイメージ

生きている間に、財産や日用品、思い出の品などの「物」やインターネットやデジタル機器などで保管されている「情報」の2つを整理していきます。

持ち物の断捨離をする

まずは家具・家電品・雑貨・食器類・書籍類・衣類・装飾品など家の中を確認し、不用品があれば処分します。
処分の際にはただ廃棄するのではなく、リサイクルショップなどで買い取ってもらうことも検討しましょう。

写真や思い出の品を整理する

写真や思い出の品のうち不要なものとそうでないものを分けて、エンディングノートに記入しておきましょう。
本人が亡くなった際に写真や思い出の品が残っていると、家族はどのように取り扱えば良いのか分からず、扱いに困るはずです。
念入りに整理することをおすすめします。

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財産を整理する

財産は相続にも深く関係するため、財産が整理されていないと家族にとって大きな負担となります。

  • 現金・預貯金
  • 不動産(土地や家)
  • 株、国債などの有価証券
  • 貸付金・借入金
  • 保険(生命保険や火災保険など)
  • 個人年金

以上のような財産がどれくらいあるのか、可能な限り詳細に記述します。

この時使っていない銀行口座などがあれば、解約しておきましょう。

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終活で注意すべきこと

終活で注意すべきことは、一人で終活を進めないということです。

終活という言葉が広まったことで、それをサポートするサービスも充実してきています。
企業のサービスを上手く利用することで、効率よく充実した終活を行うことができますが、同時に詐欺などのリスクがあることも覚えておきましょう。
企業選びなどはなるべく人に相談しながら行い、不安な場合は専門家に相談しましょう。

また、エンディングノートや遺言状に残すメッセージも、一人ですべてを決めてしまうと受け取った親族に迷惑がかかる場合もあります。
普段から家族とコミュニケーションをとり、どんなメッセージを残せばよいかを考えておきましょう。

終活で本人も家族も前向きに人生を楽しむ

終活は死と向き合うものです。
そのため短期的には不安をもたらすこともあります。
しかし終活を行い残りの人生と死後の準備を行い、漠然とした不安や悩みを解決していくことで、長期的には本人も家族も前向きに人生を楽しむことが可能です。
この記事を読んだ方は早いうちから終活をはじめ、後になって焦ることがないようにしましょう。

なお、現在は終活のセミナーや講演が開催されています。
終活や残りの人生、死後に対して悩みや不安がある方は、一人で考え込まずにセミナーや講演に参加して、同じような立場の人と不安を共有して話し合うのがおすすめです。


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